認知症の人だけが暮らす“街”「デ・ホーヘワイク」
1968年、世界で初めて長期ケア(介護・医療)保険制度(AWBZ)を制定したオランダ。そんな介護先進国オランダには、ユニークで革新的な介護施設がある。認知症の人だけが暮らす“街”、「デ・ホーヘワイク」だ。
「デ・ホーヘワイク」は、オランダの首都アムステルダムから南へ25キロほど離れた郊外にある。1.5ヘクタールの敷地にカフェやスーパーマーケット、映画館、噴水広場などの共有スペースが点在し、街のようなつくりになっている。
⇒スーパーも映画館もある、認知症患者だけが暮らす「街」―「普通に暮らしている感覚」を提供するオランダの試み
「デ・ホーヘワイク」の母体は、複数の高齢者施設を運営する「VIVIUM介護グループ」という民間企業
「デ・ホーヘワイク」が設立されたのは1992年ですが
現在のように街のようなつくりになり、住居がライフスタイル別に分けられたのは、2009年のこと。
変革のきっかけは、住人たちから出た「“普通に生活している”という感覚が得られない」という不満だったそうです。
認知症といっても
その種類は複数あり
進行の程度も人によって異なり
症状もさまざまです。
また、生活するうえでも
一人ひとりの生活習慣があり
生活環境があり
生活のリズムがあります。
もちろんすべての人に個別で対応することは難しいですが
ホーヘワイクでは、入居前にご家族に150の質問リストに回答してもらい
さらにスタッフの自宅訪問や家族との数回にわたる話し合いを経て
その人のライフスタイルを見極めているとのことです。
この取組みに注目して
日本をはじめとしたアジア諸国からも視察に訪れているとのことです。
運営グループのアドバイザーは
「私たちのやり方をそのまま真似るのではなく、自国の文化に合う形に置き換えていってほしいと思います。経済レベルや家族構成、仕事の内容、学歴などによってライフスタイルはさまざまです。その違いはとても大きく、『すべての人たちを一つのグループに押し込めても大丈夫』という単一社会は存在しません。多様性に焦点をあて、おのおのの生活パターンに近い形で過ごせる環境をつくる。認知症の人にとって、とくに重要なことだと思います」
と話しています。
日本の文化、生活スタイルを考え
一人ひとりの生活歴、生活環境を踏まえたうえで
どういった形でサポートができるのか
考えていく必要があるのかもしれません。
日本の介護保険制度の中では
「グループホーム」が
認知症の方が家庭に近い環境で生活する場所となっていますが
その周辺地域まで巻き込んで
”普通の暮らし”を提供できているかというと
自信をもって答えられる事業者は多くないかと思います。
地域住民の認知症に対する理解の促進や
地域で認知症の方を支えられる体制づくりについて
それぞれの場所で活動が行われているかと思いますが
まだまだ、普及しきれていない現状があるかと思います。
今後、認知症の方の数は
ますます増えていくと言われています。
介護施設の数が限られる中では
認知症になっても
できるだけご自宅で生活できる環境が
必要になってくるかと思います。
今回のような、日本以外での取組みも参考にしながら
認知症になっても
安心して生活できる環境を
作っていく必要がありそうです。
投稿者プロフィール
- 2005年、介護ベンチャー企業に入社。グループホームの開業準備、行政への指定申請、入居相談、運営管理業務に携わる。2010年には、介護複合施設の開業準備から運営管理までを経験。その後、有料老人ホーム、デイサービスの管理者として現場経験を重ね、2012年からはデイサービスのフランチャイズ本部にて、フランチャイズ加盟店に対しての開業研修、運営支援業務に携わる。
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