虐待件数の増加
昨年度、高齢者が介護施設などの職員から受けた虐待は640件余りで過去最多を更新したことが厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省によりますと、昨年度、高齢者が介護施設などの職員から虐待を受けたと、全国の自治体が認定した事例は合わせて644件で、前の年度から23件増えました。
平成18年度に統計を取り始めて以降、13年連続で増加しています。
内容では「身体的虐待」が60%で最も多く、次いで「心理的虐待」が29%、「介護放棄」が20%でした。
要因では、介護技術や管理体制、職員のストレスといった問題が目立つ一方、「人手不足に関連した多忙さなど」が13%を占めています。
⇒NHKニュース
介護施設での虐待件数が増えているというニュースです。
例えばもし、介護施設で
深夜、入居者からトイレに行きたいという訴えがあれば
トイレに誘導して、必要に応じて介助をします。
その10分後、同じ人から同様の訴えがあれば
再び、トイレ誘導、トイレ介助の対応します。
そしてまた10分後、同様の訴えがあれば同様に対応します。
それが夜間の勤務中、何度も繰り返し続いたとしたら
すぐには応えられないという場面もあるかもしれません。
認知症の症状のひとつに、同様の訴えを繰り返すということがあり
上記のようなケースは実際の現場でもおこりえます。
第三者からすると
それは「介護放棄」だ。虐待だ。
と言う人がいるかもしれません。
ただ、もしその訴えがさらに頻繁にあったとしたら
他にも同様の訴えをする入居者がいたら
他にも介助が必要な人が複数人いたとしたら
物理的に無理な状況になってしまいます。
職員のストレスが相当なものであることは
想像できるかと思います。
夜間の職員体制は
少ないことが多いので、深夜の例をあげましたが
日中に複数の人から介助の訴えがあったときも同様です。
介護者にとっては、虐待という意識がなくても
第三者からすると、虐待に見えるケースも
少なくないかもしれません。
施設の人員を多く配置すれば
と思う人もいるかもしれませんが
そもそも、人手が集まらないという問題や
限られた介護報酬の中で運営していくには
人員コストも考えなければならない
という問題が出てきます。
そう考えると
地域で支えるための仕組み作りや
地域での介護予防、認知症予防の活動を
今まで以上に積極的に行っていくことなどが
今後の虐待予防の手段のひとつとして
必要になるのかもしれません。
また、これからより一層、地域における介護に対しての理解や
介護者を支える仕組みも大切になってくるのかと思います。
投稿者プロフィール
- 2005年、介護ベンチャー企業に入社。グループホームの開業準備、行政への指定申請、入居相談、運営管理業務に携わる。2010年には、介護複合施設の開業準備から運営管理までを経験。その後、有料老人ホーム、デイサービスの管理者として現場経験を重ね、2012年からはデイサービスのフランチャイズ本部にて、フランチャイズ加盟店に対しての開業研修、運営支援業務に携わる。
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