新しい認知症薬と医療費

認知症の進行をゆるやかにする薬として

2023年に「レカネマブ」という薬が

2024年に「ドナネマブ」という薬が

新たに発売されました。

 

新しい認知症薬の詳細については

東京都が特設サイトを開設しています。

新しい薬ができました(東京都)

そんな新しい認知症薬について

レカネマブをこれまでに108人の患者に投与しましたが、薬の効果がみられる人、みられない人がでています。現場の感覚として、早いタイミング、つまり脳に強い変化がないタイミングで投薬を開始したほうが、効果がみられている印象です。

というニュースが掲載されていました。

認知症研究のスペシャリスト「早いタイミングで効果がある印象」(FNNプライムオンライン)

 

このニュースを見て

早いタイミングがいいなら

ぜひとも早めに活用しよう!!

と考える人もいるかもしれませんが

 

あくまで

理解しておきたいのは

認知症を治す薬ではなく

認知症の進行をゆるやかにするための薬であること

 

また

極端な話をしてしまえば

本当に認知症かどうか疑わしい段階で

薬を活用した場合に

 

そもそも疑わしいだけで

薬を使わなくても認知症になっていなかった

というケースや

 

急に認知症が進行した場合には

薬がなければ

もっと進行は早かったはず

など

どうとでも説明できてしまいます。

 

早期に活用した場合ほど

本当にその効果があったかどうかの判断が

難しくなります。

 

むしろ

薬を使わない方が良かった

なんてケースもあるかもしれません。

 

 

もう1つ考えておきたいのは

その認知症薬の費用が

高額になるということ

 

認知症患者数が増えている中で

将来の認知症を不安に感じている人も

多くいるかと思います。

 

そんな中

早めのタイミングで新薬を試したい

という人が増えてしまえば

 

現状でさえ

医療費増が課題とされている中で

さらなる医療費増の心配が

大きくなってしまいます。

 

昨日のブログでも記載しましたが

認知症に対する考え方としては

生活環境や周囲のかかわり方を

見直してみることが重要です。

 

和歌山県立医科大学附属病院

認知症疾患医療センターのサイトでは

認知症の薬について

以下のようにまとめられています。

認知症は治療よりも療養が大切な病気です。お薬はあくまで補助だと考え、生活環境やコミュニケーションを調整することが第一です。ご本人が困っていることを具体的にリストアップして、それぞれの問題点に対してサポートできることをご家族や介護スタッフと一緒に考えましょう。ご本人の負担を軽くし、不安を少なくするだけで気力やコミュニケーションの改善がみられることも多いのです。失敗はできるだけ指摘せず、さりげなくサポートしましょう。ご本人のプライドや価値観を尊重し、笑顔で接するだけで症状は良くなります。

認知症のお薬について(和歌山県立医科大学附属病院 認知症疾患医療センター)

 

認知症かもしれない

と思ったら

 

認知症の薬を考える前に

まずは

生活環境やコミュニケーションの方法を

見直してみてください。

 

 

投稿者プロフィール

武藤 至正
武藤 至正
2005年、介護ベンチャー企業に入社。グループホームの開業準備、行政への指定申請、入居相談、運営管理業務に携わる。2010年には、介護複合施設の開業準備から運営管理までを経験。その後、有料老人ホーム、デイサービスの管理者として現場経験を重ね、2012年からはデイサービスのフランチャイズ本部にて、フランチャイズ加盟店に対しての開業研修、運営支援業務に携わる。