要介護度等改善促進事業

今年3月下旬、東京都が公表した2023年度の施策「要介護度等改善促進事業」に介護業界の注目が集まりました。介護サービスの利用者の要介護度などを維持・改善した施設・事業所に最大40万円を支給するものです。

自治体で導入広がる! 要介護度改善「報奨金」(日経メディカル)

 

要介護度の維持改善の取組みを行った事業所に対して

東京都独自に報奨金を支給するという取組み

評価方法などの詳細は9月末までに示す予定とのことです。

東京都のサイトを見ると

令和5年2月16日に開催された

東京都高齢者保健福祉施策推進委員会の資料の中に

事業の概要が示されています。

【資料10-1】介護予防と地域生活を支える取組の推進について(pdf資料)

 

資料とニュース記事を確認すると

報奨金を受け取るためには

「ADL維持等加算」を算定していることが

前提条件となっていることが分かります。

 

その「ADL維持等加算」の算定要件については

< ADL維持等加算(Ⅰ) >
○ 以下の要件を満たすこと
イ 利用者等(当該施設等の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること。
ロ 利用者等全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること。
ハ 利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること。
< ADL維持等加算(Ⅱ) >
○ ADL維持等加算(Ⅰ)のイとロの要件を満たすこと。
○ 評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が2以上であること。

となっています。

 

Barthel IndexやADL値などの専門用語もあり

分かりにくいと感じる人もいるかと思いますが

 

ポイントだけみると

・利用者の身体機能の評価が必要
・6カ月後の再評価が必要
・再評価時に一定以上の維持改善割合が必要

とあります。

 

その他細かい要件もありますが

算定するまでには

少なくとも6カ月の期間が必要

ということが分かります。

 

そのため

今現在「ADL維持等加算」を算定していなく

算定の準備もしていない事業所であれば

東京都独自の報奨金支給対象にはなりません。

 

現状で

「支給対象にならないのなら関係ない」

としてあきらめてしまう人もいるかもしれませんが

今後

このような取組みは

東京都に限らず広く実施される可能性もあります。

 

次回の報酬改定で

介護度改善に関わる報酬が拡充される可能性もあります。

 

今はまだ算定していない

という事業所は

今のうちに算定できるように

準備しておくと良いかと思います。

 

「ADL維持等加算」のように

準備期間が必要な加算は

本当に早めに準備しておくことが

今回のように

事業所のメリットにつながることがあります。

 

新たに算定できそうな加算があれば

早め早めに

準備しておきたいですね。

 

 

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投稿者プロフィール

武藤 至正
武藤 至正
2005年、介護ベンチャー企業に入社。グループホームの開業準備、行政への指定申請、入居相談、運営管理業務に携わる。2010年には、介護複合施設の開業準備から運営管理までを経験。その後、有料老人ホーム、デイサービスの管理者として現場経験を重ね、2012年からはデイサービスのフランチャイズ本部にて、フランチャイズ加盟店に対しての開業研修、運営支援業務に携わる。