頑張れば頑張るほど売上が減る矛盾

自立支援に真剣に取り組む介護事業者にとって

現在の介護報酬の仕組みは矛盾を感じるようなものになっています。

 

介護報酬とは、介護サービスを提供する側に入ってくるお金のことです。

現在の介護報酬の仕組みでは、

対応する利用者の介護度が重度なほど

高い金額が受け取れるようになっています。

 

介護度はその方の状態により変化します。

状態が悪くなれば、事業者の売上は上がり

状態が良くなれば、事業者の売上は下がります。

 

自立支援に真剣に取り組む事業所というのは、

利用者に元気になってもらうために

状態が良くなるように、リハビリ等の支援をします。

真剣にリハビリに取り組んだ結果、利用者の状態が改善し、

介護度が良くなったとしても

事業者の売上は減ってしまうのです。

 

頑張れば頑張るほど売上が減ってしまえば

自立支援に取り組む事業者のモチベーションはどんどん下がってしまいます。

 

ただ、このような現状の報酬体系に対し、

昨今、見直しの動きが進みつつあります。

今後の高齢者のさらなる増加を前に

自立支援に積極的に取り組む声が大きくなり

報酬の見直しが始まっています。

 

自立支援の結果に対して、基本の報酬は下がってしまいますが

結果を出したことに対する評価として、別途報酬が出る仕組みができています。

また、市区町村独自の取組みとして

自立支援で結果を出した事業所には

インセンティブを支給しているようなところもあります。

 

今はまだ、報酬やインセンティブの金額は少ないものになっていますが、

今後、自立支援に真剣に取り組む事業所が大きく評価され

業界全体が介護度改善に力を入れられるような仕組みに変わることを期待しています。

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投稿者プロフィール

武藤 至正
武藤 至正
2005年、介護ベンチャー企業に入社。グループホームの開業準備、行政への指定申請、入居相談、運営管理業務に携わる。2010年には、介護複合施設の開業準備から運営管理までを経験。その後、有料老人ホーム、デイサービスの管理者として現場経験を重ね、2012年からはデイサービスのフランチャイズ本部にて、フランチャイズ加盟店に対しての開業研修、運営支援業務に携わる。
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